家の仕様

新築の結露対策

ねこちゃん
ねこちゃん
新築するなら結露対策は必須だよね
いぬくん
いぬくん
結露は窓以外でも起きるんだよ!
冬だけじゃなくて夏も起きるって知ってる?

結露が発生した場合、欧州では瑕疵担保責任を問われますが、日本では「結露は起きるもの」という残念なレベルです
結露は家の設計時点で、そのリスクを下げることができますので、そのことを理解しておく必要があります
また、結露は窓と壁内部(以降、内部結露と言います)の両方で発生しますので、それぞれについて解説します

結露発生のメカニズム

結露は、温度と飽和水蒸気量の関係を理解すれば、そんなに難しい話ではありません
教科書に次の表が載っていましたので、このデータで説明します

気温(℃) 0 5 10 15 20 25
飽和水蒸気量(g/m3 4.8 6.8 9.4 12.8 17.3 23.0

引用:TryIT(トライイット)

飽和水蒸気量というのは、その温度で含むことができる最大の水蒸気量です

飽和水蒸気量グラフこの表をグラフにします
温度が低いほど、飽和水蒸気量は少なくなることがわかります
例えば、20℃の飽和水蒸気量は17.3g/m3ですが、湿度が50%とすると、その水蒸気量は8.65g/m3となります
8.65g/m3の露点は、このグラフの近似式から9℃になります
つまり、室温20℃で湿度50%の場合、9℃のものあると結露することになります
この条件で、窓が9℃を下回ると、窓に結露が発生する、ということですね

断面図次に内部結露について説明します
家の壁の断面は左図のようになっています
室内側から順に、クロス、石膏ボード、防湿シート、断熱材、構造用合板、と見てください

冬の場合、室内が暖かく、屋外が寒いので空気は室内からこれらの構造物を通って屋外へ流れます

クロスはビニール製が多いと思いますが、水蒸気を含んだ空気は、このクロスも通過し、またクロスの隙間を通過して屋外へ向かいます
その空気の温度が徐々に下がり、断熱材や構造用合板の中で露点を超えると内部結露が発生します
内部結露は目に見えないため、カビの発生や断熱材の性能劣化につながり、窓の結露よりも恐ろしいことになります

夏は、冬とは逆に屋外温度の方が高く、室内温度が低いために、空気は屋外から屋内へ流れます
屋外から流入した空気が露点を超えたところで結露が発生することになります
夏結露はあまり知られていませんが、地球温暖化の影響か最近は猛暑が続くことがあり、今後注目されていくことになると予想されます

内部結露の発生の有無は、結露計算で行うことができます
本来は工務店で結露計算を行い、結露リスクが少ない設計をすべきなのですが、結露計算まで行ってくれる工務店は少ないと聞きます
工務店選びの時に確認してみましょう

結露計算は、エクセルを使ったもの、フリーソフト、有料ソフトなど簡単に入手できます
結露計算ソフト」で検索してください
自分で計算するのも面白いと思います

結露対策

結露が起きないようにするには、以上の計算結果を見れば、すぐにわかります

窓の対策

窓に結露を発生させないポイントは次の通りです

  • 窓を高断熱のサッシにする
  • 室内の湿度を上げない
  • 室内の温度を上げない

冬、室内で一番冷えるのは窓です
その窓が冷えなければ、露点を超えず、結露は発生しません
つまり、高断熱のサッシにすればよいわけです
高断熱のサッシは、トリプル樹脂サッシをオススメしますが、アルミ樹脂複合サッシを使用する場合は、「室内の湿度を上げない」「室内の温度を上げない」対策が必要です
アルミ樹脂複合サッシでも結露は発生していない、と言われる方もいますが、おそらく湿度を上げていないためと思われます
お住いの地域にもよると思いますが、アルミ樹脂複合サッシを使用する場合には、湿度を上げず、室温を上げない生活をすれば結露リスクを低減できます
くどいようですが、私はアルミ樹脂複合サッシをオススメしません

内部結露対策

  • 防湿シートを必ず入れる
  • 夏結露リスクを下げたい方は、防湿シートに機能性防湿シートを使う
  • 機能性防湿シートを使った場合、壁紙は透湿性の良い素材を使う

前述の壁の断面図にある防湿シートを必ず使用してください
結露計算から、断熱材の種類や厚さよりも、防湿シートの有無が結露への影響度が大きいことがわかっています

夏結露対策としては、機能性防湿シートの使用をオススメします
機能性防湿シートとは、冬は室内からの空気の流れを遮断し、逆に夏は屋外からの空気の流れを遮断せずに室内へ誘導するという素材です
我が家では「インテロ」というシートを採用しました(詳細はあとで述べます)

室内へ空気を誘導する場合、壁紙がビニールクロスでは空気の流れが止まってしまいます
したがいまして、壁紙も透湿性の高い素材にしなければなりません
珪藻土の塗り壁、透湿性素材の壁紙、カイム・ビオシール等の塗装壁などを使用する必要があります

我が家の結露対策

前の記事でも述べましたが、我が家の窓は、「エクセルシャノン トリプルシャノンIIs」です
私の住まいは4地域ですが、今朝は-10℃まで冷え込みました
-10℃も珍しくない地域ですので、窓はトリプル樹脂サッシの一択です
では、トリプル樹脂サッシにすれば結露しないのかというと、絶対発生しない、とは言えません
どんなに高性能なサッシを使用しても、寒い地域では湿度コントロールが必要です
なお、窓に関する記事はこれをお読みください

窓の話
高気密・高断熱住宅の「窓」選び高気密・高断熱住宅において「窓」(「サッシ」)選びは非常に重要です。私のオススメは、トリプル樹脂サッシの一択です。その理由を解説しますので、絶対読んでください。また、オススメの玄関ドアも紹介します。...

インテロ我が家では、夏結露対策のために「インテロ」という調湿気密シートを採用しました
また、この機能を利かすために、壁紙は「紙クロス」に「カイム ビオシール」という透湿素材の塗装壁にしました
こうすることで、夏の湿気が室内へ取り込め、内部結露を防ぐことができます

これにより、夏結露対策はできたのですが、かなりコスト高になりました
夏結露対策については、対費用効果も含め、より検討する必要があると感じています

まとめ

結露対策は、結露計算により理論的に説明することができます
しかし、残念ながら、そこまでやってくれる工務店は珍しいのが現状です
結露で悩むのは施主ですので、結露対策についてよく理解したうえで家の設計を行いましょう!

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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