高気密・高断熱住宅の性能を表す指標として、C値やUA値があります
前の記事で軽く触れましたが、大事な指標ですので詳しく解説します
高気密・高断熱住宅の性能を表す指標
C値、UA値ともに高気密・高断熱住宅の性能を表す指標です
しかし、日本では高気密・高断熱住宅の性能が規格化されていないために、C値、UA値という指標はあまり知られていません
逆に、規格がないために高気密・高断熱住宅の定義がなく、どこのハウスメーカーも高気密・高断熱住宅だって言えるのです
つまり、高気密・高断熱住宅だって言いながら、夏暑くて冬寒いなんてことが起きてしまうのです
そんな不幸に合わないために、高気密・高断熱住宅の定義を自分なりに確認しておきましょう
C値とは
前の記事でも触れましたが、C値とは次の計算式で成り立ちます
C値は実測値、値は小さいほど気密性が高い
C値=0.59㎠/㎡ の35坪の住宅では、68.44㎠/116㎡ であることから、家全体で8.3cm角の隙間があることになります(8.3cm角の穴が開いている)
C値=0.1㎠/㎡ であれば、3.4cm角の隙間となります(3.4cm角の穴が開いている)
ちなみに、C値=0.59㎠/㎡ というのは、高気密と言われている一条工務店の代表的なC値です
C値=0.1㎠/㎡は、我が家の測定値です
では、C値を明らかにしていないハウスメーカーの値はというと、1~5㎠/㎡くらいだそうです
仮に、C値=5㎠/㎡とすると、35坪の住宅では、580㎠/116㎡ であることから、家全体で24cm角の隙間があることになります
そんな穴があったら、冬暖かいはずがありません(暖かくするには、かなりのエネルギーロスとなります)
C値を明言していないハウスメーカーは山ほどあります
しかし、どのハウスメーカーも「高気密・高断熱住宅」であると言っています
C値を理解すると、ハウスメーカーの闇が見えてきます
前述の通り、C値は実測値です
このような機械で1棟毎に測定します(写真は我が家の測定現場です)
測定結果は、次のようになります
測定は、工事途中1回と完成後1回の計2回行うのが良いと言われますが、我が家は完成後1回の測定でした
コマツ住研は高気密施工に実績と自信があり、完成後の測定で仕様を満足するとのことです
C値は実測値ですので、高度な気密処理が施工されなければ良い値は出ません
また、ごまかしもききません
高気密住宅を理想とするならば、C値を測定しないハウスメーカー・工務店はオススメできません
UA値とは
前の記事でも触れましたが、UA値とは次の計算式で成り立ちます
(Kは1度、建物内外温度差が1度あるときに、外皮から何Wの熱が逃げるか)
UA値は設計値、値が小さいほど断熱性能がよい
2021年4月1日に「建築物省エネ法」が改訂されます
何が改訂されるかというと、住宅を建築する際に、省エネの「基準」に適合しているか否かの説明を「建築士」が行うことが「義務化」されます
省エネの「基準」に適合しなさい、ということではなくて、説明を「建築士」が行うことが「義務化」される、という緩い内容です
しかしながら、UA値の重要性が増したことに間違いはありません
あなたの地域のUA値の基準がいくつなのか、把握しておきましょう
地域区分 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
UA値 | 0.46 | 0.46 | 0.56 | 0.75 | 0.87 | 0.87 | 0.87 | – |
「建築物省エネ法」の改訂詳細や地域区分詳細は国土交通省のホームページに記載されていますので、それを確認してください
C値、UA値はいくつなら良いか?
C値は小さいほど良い、UA値は国の基準ができる、ことは理解できたと思いますが、最終的にはいくつならよいでしょうか?
C値の基準
C値に業界の基準はありませんが、パッシブハウスは0.3以下、松尾設計室の松尾さんは0.5以下を推奨しています
松尾設計室の松尾さんの説明が非常にわかりやすいので、興味のある方は動画を確認してください
UA値の基準
次の表を参考にしてください
地域1 | 地域2 | 地域3 | 地域4 | 地域5 | 地域6 | 地域7 | 地域8 | |
省エネ基準 | 0.46 | 0.46 | 0.56 | 0.75 | 0.87 | 0.87 | 0.87 | – |
ZEH基準 | 0.4 | 0.4 | 0.5 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | – |
HEAT20 G1 | 0.34 | 0.34 | 0.38 | 0.46 | 0.48 | 0.56 | 0.56 | – |
HEAT20 G2 | 0.28 | 0.28 | 0.28 | 0.34 | 0.34 | 0.46 | 0.46 | – |
HEAT20 G3 | 0.20 | 0.20 | 0.20 | 0.23 | 0.23 | 0.26 | 0.26 | – |
省エネ基準
前述のとおりです
ZEH基準
経済産業省 資源エネルギー庁が推進するネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの基準
HEAT20
一般社団法人「20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」のこと
グレード1~3がある
我が家は、地域4でUA値=0.25ですので、HEAT20 G2とG3中間に位置します
まとめ
高気密・高断熱住宅において、C値およびUA値は小さいほど好ましいですが、それらを追求するほど、コスト高になります
しかし、高気密・高断熱性能にかけるお金は、あなたを長期的に健康にしてくれると思いますので、慎重に検討することをオススメします
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました