家づくり論

家庭用エアコンの省エネ性能目標基準の改正について

ねこちゃん
ねこちゃん
先日、ニュースに「経済産業省は2022年度、省エネ法に基づく家庭用エアコンの省エネ性能の目標基準を15年ぶりに改正する方針を固めた」という記事が出ていたね!
いぬくん
いぬくん
その記事読んだよ!でも、ちょっと違うんじゃないって思っているよ

先日出ていた新聞記事の内容は次の通りです

「経済産業省は2022年度、省エネ法に基づく家庭用エアコンの省エネ性能の目標基準を15年ぶりに改正する方針を固めた。メーカーに対し、27年度までに現在より約3割高い省エネ性能を達成するよう義務付ける。冷暖房器具は家庭部門のエネルギー消費量の約3割を占めており、経産省は省エネ推進で脱炭素へ前進を図る。海外への高性能エアコンの売り込みにもつながると期待している。」
引用:読売新聞

確かにその通り、と思えるのですが、本当にそうでしょうか?
ちょっと考えてしまいました

我が家のエアコン事情

上述の記事によりますと、エアコンは1世帯当たり約3台保有しているそうです
我が家のエアコン保有台数は1台ですので、非常に優秀ですね
また、我が家はオール電化で、エネルギー収支もプラスになっていますので、省エネの見本なような家です

我が家のエネルギー収支
年間エネルギー収支発表!高気密・高断熱住宅でゼロエネルギーは本当に達成できるのでしょうか?今月、我が家の電気代収支がまとまりましたので、その結果を報告します。我が家では、年間8,699円のプラス収支になりました。すごいですね!みなさんも高気密・高断熱住宅を建て、ゼロエネルギーを達成しましょう!...

なぜ、ここまで優秀なのかというと、高気密・高断熱住宅だからです

冷暖房が床下エアコン1台で済んでいる理由に「平屋だから」ということもありますが(2階建ての場合、2階に冷房用のエアコンが1台必要と思います)、基本的に「高気密・高断熱住宅である」ことがすべてです

エアコンの稼働ですが、夏は湿度が60%を越えた時だけ除湿モードで運転します(床下エアコンなので、冷房運転は行いません)

冬は、11月~4月の間、常時運転させます

常時運転と言いましても、一度温まってしまえば、あとは室温を一定に保つだけの間欠運転になります

その結果、前述のエネルギー収支になるわけです

エアコンの省エネ性能を上げれば電力消費は少なくなるでしょうが、それよりも家の性能を上げた方が電力消費はより少なくなる、と私は思うのです

つまり、エアコンの性能にこだわるだけの施策に違和感を覚えるのです

せっかくエアコンの性能を上げても、それを使用する家の断熱性が低く、気密性が悪ければ、電力の垂れ流しになると思うわけです

高気密・高断熱住宅が広がらない理由

高気密・高断熱住宅について、今までも記事にしてきました

【徹底解説】高気密・高断熱住宅
【徹底解説】高気密・高断熱住宅は必要ないか?高気密・高断熱住宅とはどんな住宅でしょうか?必要ないでしょうか?高気密・高断熱住宅とはどんな住宅なのか解説し、高気密・高断熱住宅に実際に住んでみて、どう感じているか率直な感想を述べますので、これから新築を考えているみなさんの参考にしてください。...

日本の高気密・高断熱住宅に関する基準は、諸国と比較して非常に甘いものになっています

あくまで個人的な見解ですが、その理由として政府は建築業界を守らなければならない、と考えているからと思っています

つまり、本当の高気密・高断熱住宅を推進すると、それに対応できない大手ハウスメーカーや工務店の仕事がなくなる、アルミサッシが売れなくなる、対応できるメーカーが少なく、材料も取り合いになるため、家を建てたい人の要望に応えられなくなる=家の価格が上がる、などの弊害が起きるため、政府は厳しい基準を設けられないのです

省エネのためになすべきこと

私は、省エネのためにはエアコンの省エネ高性能化もだいじですが、それよりも「高気密・高断熱住宅の推進」をした方が、省エネ効果が大きいと考えます

前述のような諸事情により、高気密・高断熱住宅に関する基準の見直しができないのであれば、高気密・高断熱住宅を建てる施主さんやビルダーへの支援を強化すべきと考えます
(支援とは、助成金の支給や固定資産税の免除など税金の優遇措置を指します)

高気密・高断熱住宅になれば、エアコン保有台数は3台から2台へ減りますし、運転電力も大幅に減りますからね

まとめ

省エネ施策において、エアコンの省エネ高性能化も良いですが、高気密・高断熱住宅の推進を強化すべきである、と考えます

どんな家を建てるかは、その施主さんの好みであり、高気密・高断熱住宅がすべてとは言えません

しかし、ゼロ・カーボンを唱えるのであれば、高気密・高断熱住宅関係者への支援をもっと多くすべきであると考えるのは私だけでしょうか?

今回は少し熱くなってしまいました

今回は、ここまでとしましょう

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました

では、また!

POSTED COMMENT

  1. あきひと より:

    ながみさん
    はじめまして、いつも楽しく記事を読ませていただいています。あきひとと申します。
    少し誤解がある気がするので情報提供させてください。
    >つまり、エアコンの性能にこだわるだけの施策に違和感を覚えるのです
    とおっしゃっています。確かにニュース記事を見るとそのように受け取れてしまうのですが、
    この政策はトップランナー制度というものの一環でありその対象は多岐にわたっています。
    リンク先の資料の20Pを見ていただくと分かりますが高気密住宅に必要なサッシや断熱材なども対象です。
    https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001400904.pdf

    ですから、「これ以上エアコンを高性能化することに意味があるのか?」という指摘はごもっともですが、「高気密高断熱にむけて政府は何もしていない」といった論調は誤解かなと思いました。

    長野県の高気密高断熱ブログは少ないため更新を楽しみにしています!

    以上長文失礼しました。

    • ながみ より:

      あきひとさん、はじめまして。
      コメントありがとうございました。
      また、資料まで教えていただき、重ねてお礼申し上げます。
      おっしゃる通り、政府は何もしていないわけではないですね。
      断熱性と気密性(C値)の基準化が早く進めばいいなあ、と思いながら資料を読ませていただきました。
      今後もよろしくお願いします。

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